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Vol.20
2021年5月発行

  • 用紙:
  • ファンタス ヒマワリ L版200kg
  • サテン金藤 菊判Y目93.5kg
  • スクリーン線数:AM175線
  • 印刷機:
  • 表紙 LE-UV菊全4色機印刷機
  • 本文 油性菊全5色機

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難関「黄色」に再々チャレンジ

2014年12月発行のVol.7から約7年ぶりの挑戦となった黄色。
黄色は色域が狭く、レタッチが難しいため、今号でも何度もテストを行いました。
遺跡を照らす黄色の灯には、蛍光イエローインキを使用し、プロセスカラー(CMYKの4色)では表すことができないインパクトの強い鮮やかさを表現。
蝶の鱗粉の触れると粉がつきそうな質感やオリーブオイルのとろりとした質感。濃紺の海中に浮かぶ熱帯魚。さらりと音がしそうな繊細な金髪の動き。グラスに注がれるビールの泡の躍動感など、美しさ・質感が感じられる印刷表現の可能性に挑戦しました。

表紙 用紙:ファンタス ヒマワリ L版200kg
刷色:プロセス4色+白+マットニス

「黄色」をイメージをしやすい「卵」をモチーフに選び、ポップで明るい印象のデザインができました。
用紙は「ファンタス」を採用。ファンタスは表面に強い光沢があり、カラーラインナップも豊富で、高い平滑度・光沢度を持つ塗工印刷用紙です。
表はムラのない鏡面光沢と鮮やかな色調で、裏は白色無地のさらっとした上質系です。
表1の目玉焼きの黄身のツヤっとした質感は紙地をそのまま活かし、周囲にはマットニスを施しています。また、白身は一度刷りでは発色が淡いので2度刷りを行いました。表4は卵の白身のパターンにマットニスを施し、紙のツヤを消しています。
光沢のあるファンタス紙、マットニス、白インキ、それぞれの相乗効果で印象的に仕上がり、色紙ならではのユニークな表現が実現できました。

  • 用紙(ファンタス ヒマワリ)
  • 印刷① 白インキ版(2度刷り)
  • 印刷② マットニス版
  • 印刷③ プロセス4色

マットニスを使った引き算の質感表現

ファンタスの持つ強い光沢感をマットニスで消し、色ではなく質感のコントラストで目玉焼きを模したパターンを表現しました。

  • 実物の画像
  • A: 素の紙の質感
    B: マットニスを施した箇所

光彩奪目 刷色:CMK+特色蛍光イエロー

通常の印刷でも十分美しい画像ですが、今回はプロセスイエローインキを特色の蛍光イエローに置き換え、より鮮やかでインパクトのある印刷表現を目指しました。
蛍光イエローを使用することで、少し平坦な印象になるので、壁のディテールを出すためCMK版のボリュームをアップさせています。

トクトク 刷色:CMYK+超光沢ニス

主役であるビールを目立たせる為、背景のスミの濃度を抑えて泡部分に超光沢ニスを施し、さらに泡のきめ細やかさをレタッチでアップ、思わず口にしたくなるような新鮮な表現を目指しました。

“黒”の違い

写真の背景の黒は元画像より若干濃度を下げ、更に周囲に濃度の低い黒い枠を設け、黒の印刷表現の違いを感じられるデザインとなっています。

<インク濃度>
写真の背景の黒:c55% m46% y46% bk89% (計236%)
周囲の黒枠  :c15% m15% y15% bk100%(計145%)

  • 実物の画像
  • C: 周囲の黒枠
    D: 写真の背景