挑戦の記録 -定期刊行物「感色」制作現場から #2
“濡れ感”を紙に宿す 2026年1月30日

挑戦の記録 -定期刊行物「感色」制作現場から #2 “濡れ感”を紙に宿す

数々の制作経験を、“挑戦の記録” としてお届け

創業150余年の京都の印刷会社である当社。これまで「どうすれば、モノの質感や魅力をもっと伝える印刷表現ができるか?」という問いに向き合い続けてきました。
その取り組みの一つとして、2012年に定期刊行物『感色(かんしょく)』を発刊。毎号異なるテーマにピッタリな印刷手法を追求しています。表現の幅を広げる挑戦を重ねることで、技術を磨き、お客様のブランド価値向上に貢献できると考えています。

「みずみずしさ」を印刷で生む

水滴が光をまとい、しっとりと輝く瞬間。
網の上でジュージューと焼ける肉。
ツルツルと光る肌を思わせる化粧品。

こうしたいわゆる“シズル感”—— みずみずしさを紙の上で再現できれば、商品の魅力がさらに際立ちます。体験を想像させる表現は 、「欲しい」気持ちを高める からです。

今回の記事では、この「みずみずしさ」への挑戦を取り上げます。

紙の上に“濡れ感”を

先日発刊した最新号「感色 vol.26 フランスの伝統色」。
長い歴史の中で育った食文化やファッション 。魅力がたっぷりのフランスから連想されるモチーフを切り取りました。
例えば、焼きたてパンのパリッとした硬さ や、刷毛で塗られたペンキのようなコッテリした質感など——それぞれの再現に挑戦。

▲校正を繰り返しながら、狙った色味・質感に近づけます。

その中の1ページ、赤いキノコ(ベニテングダケ)。童話の絵本にも出てくる美しさから、ヨーロッパでは幸せの象徴とされています。

赤いキノコ(ベニテングダケ)
赤いキノコ(ベニテングダケ)
▲フランスで幸せの象徴とされるベニテングダケ。触ったらベタっと指につきそうなリアル感を目指した

このキノコ、カサの一部分が、べったりと濡れたような質感をしています。乾いた紙の上で、この"濡れ感”をどう再現するか? チームの腕の見せ所でした。

単なる光沢で終わらない、自然な濡れ感の秘密

印刷でツヤ感が欲しい時、よく使われるのがOP(オーバープリント)ニス。今号でも、モチーフに合わせたツヤ感を使い分けています。

単なる光沢で終わらない、自然な濡れ感の秘密
▲別モチーフでのニス活用例。カメラ撮影でできるフレアを実験的に再現。残念ながら不採用に。

この写真でも、丸くニスを引いた部分が光っているのが分かります。ニスが重なることで光沢が生まれるからです。

しかし、キノコのページで狙うのは、“濡れているように見える透明感”。単なる光沢だと、今回の"濡れ感"には物足りませんでした。

そこで制作チームがとったのが、ニスに少量のピンクを混ぜた特色インキを使う方法。
これにより、濡れたような透明感に微妙な色温度が加わります。ただニスを引くだけとはちょっと違う、自然な表現ができました。

上は特色(ニス+ピンク)のみで印刷した校正紙。
▲上は特色(ニス+ピンク)のみで印刷した校正紙。

ただし、このピンクで全体の色味が変わってしまう問題も起きました。そこでキ ノコの光っている部分だけ、マゼンタ(紅色)を微調整。
手作業での微妙な色の調合を繰り返して、意図した色目に仕上げました。

細部へのこだわりが、製品の価値を高める

細部にこだわった印刷は、ブランド価値を高め、製品の魅力を最大限に引き出します。「どうすれば印刷でよりリアルを再現できるか?」––– 私たちはその問いに向き合い、さまざまな手法を駆使して、お客様の印刷物に向き合います。

『感色 vol.26 フランスの伝統色』は、それぞれの質感をもつフランスのモチーフを、いかに実物らしく再現するか、ひたすら追求して完成させました。

赤いキノコ(ベニテングダケ)
赤いキノコ(ベニテングダケ)
▲角度によって表情を変えるホログラム表紙や、迫力満点の重厚感ある馬のページなど見どころたくさん!

写真では伝わりきれないその魅力は、ぜひ手に取ってご覧ください。

下のボタンから、実物を取り寄せることができます。送付先の住所と「Vol.26フランスの伝統色」が欲しいという旨を内容欄に書き込んでいただければ、営業担当を通じてお手元にお届けします。
お渡しできる在庫分は限られています。数量限定になりますので、ぜひお早めにご連絡ください。(ただし、ご請求は企業様のみに限らせていただきます。)

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