挑戦の記録 -定期刊行物「感色」制作現場から #3
RGBからCMYKに、色が変わる前に
2026年6月29日
数々の制作経験を、“挑戦の記録” としてお届け
創業150余年の京都の印刷会社である当社。これまで「どうすれば、モノの質感や魅力をもっと伝える印刷表現ができるか?」という問いに向き合い続けてきました。
その取り組みの一つとして、2012年に定期刊行物『感色(かんしょく)』を発刊。毎号異なるテーマにピッタリな印刷手法を追求しています。表現の幅を広げる挑戦を重ねることで、技術を磨き、お客様のブランド価値向上に貢献できると考えています。
RGBとCMYKの間の壁
モニターで見たときに心をつかむ、色鮮やかなビジュアル。
でもそれを印刷したとき、完全に同じ印象になるかというと、答えはNOです。
なぜなら、モニターと印刷物では、表現できる色の範囲が違うから。
モニターで映す画像は「光の三原色」であるRGB、印刷物は「色の三原色+黒」であるCMYKで構成されます。RGBに比べ、CMYKが表現できる色の範囲(色域)は狭くなります。
色域について、詳しく解説しています。
つまり、RGB画像をそのままCMYKに変換すると、失われてしまう色が出ます。
この難問にどう向き合うか。これが今回の挑戦のテーマです。
「見たまま」を印刷で再現する
色域が狭いことでの問題は、単に色味が変わることだけではありません。
細かな階調―――しわや陰影、立体感といった情報が失われることがあります。
印刷の前工程で、RGB画像はCMYKに変換されます。その際、色域が狭まるのを見越し、画像修正処理をほどこしています。
画像処理の時点で情報が失われると、後の印刷工程では取り戻すことができません。陰影や立体感をありのままに印刷で再現するには、画像処理のときに先手を打っておくことが重要です。
数多くの印刷物を手掛けてきた画像処理チームは、CMYK変換時に、どの色が、どのように失われやすいかを経験的に把握しています。
今回発刊された『感色 vol.27 鮮明』の表紙でもその経験が光りました。
オレンジや黄色、白、そしてブルーの草花。
色とりどりの色彩の中に散りばめられたブルーは、まさにCMYKが苦手とする鮮やかな色です。
では、どんな処理を加えたのか?
今回の画像処理担当は、このブルーに対してどんな処理を加えたのでしょうか?
それは、あえて「くすみ」を足す処理。
RGB画像に適切なくすみを仕込んでおくと、CMYKに変換したときに階調が失われにくくなるのです。
くすみを足してからCMYK変換。そして再び調整をかけ、元々のRGB時で見えていた印象に近づけます。
この2ステップを踏むことによって、最終的に階調を保ったまま、鮮やかさが際立つ画像が仕上がります。
今回の草花も、花びらの陰影や立体感を保ったまま、鮮やかなブルーを表現することができました。「鮮やかで、リアルに見える」印刷物は、こうした微調整の積み重ねによって完成しています。
思っていた色と違う―――
そんなズレが起きないよう、画像と印刷の間のギャップは、人の目と手で徹底して埋める。それが誠実なものづくりの姿勢だと、私たちは考えています。
細部へのこだわりが、製品の価値を高める
細部にこだわった印刷は、ブランド価値を高め、製品の魅力を最大限に引き出します。「どうすれば印刷でよりリアルを再現できるか?」――― 私たちはその問いに向き合い、さまざまなテクニックを駆使して、お客様の印刷物を手がけています。
『感色 vol.27 鮮明』は、さまざまなモチーフが持つ鮮やかな色やグラデーションを、画像処理を始めとした創業150年超のテクニックで再現しています。
写真では伝わりきれないその魅力は、ぜひ手に取ってご覧ください。


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